はじめに
「赤・白の違いが分かるようになってきた」「理由を持ってワインを選びたい」という気持ちが芽生えてきたら、あなたはもう“中級者の入口”に立っています。
ワインは知識が少し加わるだけで、ただ飲むだけではなく“選び、比べ、楽しむ”深い世界が広がります。今回は、このシリーズ最初の一歩として、「ぶどう品種・産地の知識」と「楽しみ方の基本」、さらに「実際に手に入れて試せるおすすめワイン」をご紹介します。
初心者と中級者の違い
- 初心者:赤と白の違い、甘口・辛口の違いなど、大まかに楽しめる段階
- 中級者:ぶどう品種や産地の特徴を理解し、味の違いを比較して楽しむ段階
- 上級者:格付け、生産者、ヴィンテージなど細かな要素を見極められる段階
中級者は「なぜこのワインがおいしいのか」が理解できるようになる段階。ここをマスターすれば、ワインを選ぶ楽しさが大きく広がります。

基本がよくわからないという人は入門編の記事から読んでみてね!
ぶどう品種を知る楽しみ
品種を知ることで、「どんな味か」をイメージでき、選ぶ安心感が生まれます。

普段食べるフレッシュのぶどうを思い出してみて!巨峰の味とデラウェアの味って違うよね?ワインも同じで、このぶどうはこんな味って知ることが大切だよ。
赤ワイン主要品種と特徴
- カベルネ・ソーヴィニヨン:濃厚で力強く、果実味とタンニンのバランス良し。フランスやアメリカなどで長期熟成型のワイン作りの主要品種としても使用されている。ステーキ、ラムチョップと好相性。
- メルロー:まろやかで優しい果実味を持ちつつ、長期熟成型のワインにも用いられる。ローストチキン、パスタと〇。
- ピノ・ノワール:軽やかで華やか。フランスのブルゴーニュ地方やアメリカなどでよく栽培されている。偉大なワインにもなる品種。サーモン寿司やきのこ料理との相性抜群。
- シラー/シラーズ:スパイシーで黒系果実のアロマ。どっしりとした果実味とスパイシーな香りが特徴的な品種。バーベキューやカレーなど、スパイス系の料理と好相性。
- サンジョヴェーゼ:イタリアはトスカーナを代表する品種。早のみワインはスッキリフルーティで飲みやすく、長期熟成型は複雑な味わいを持つ。トマト系の料理やステーキと◎。
- テンプラニーリョ:スペインで好まれている土着品種。赤いフルーツのジャムを思わせるようなチャーミングな印象のワインが出来上がる。酸味と果実味が絶妙のバランス。ピザやパエリアなどと相性が良い。
白ワイン主要品種と特徴
- シャルドネ:世界的に栽培されている白ぶどう。温かい地域で育つとトロピカルフルーツのような香り、寒冷地では柑橘系の爽やかな香りを放つ地域適応型。濃厚な長期熟成型から爽やかな早のみタイプもこなす万能選手。牡蠣からクリームパスタまでワインによっていろんな料理に。
- ソーヴィニヨン・ブラン:ハーブや柑橘、青草の香りを持つ爽やかな品種。長期熟成させるとバターのようなふくよかな香りも放つ印象的なワインに。シーフードやサラダにぴったり。
- リースリング:フランスのアルザス地方やドイツなどで栽培されているとても華やかな品種。栽培方法やワインの仕立て方によって味わいが変化する点も魅力。極甘口のワインにも使用されている、白ワイン用ぶどうの女王のような存在。スパイシーな料理からデザートまで相性◎。
- ゲヴュルツトラミネール:香り付きぶどうと言われ、豊かな酸味やまるでバラの香水のような華やかな香りが特徴の個性派。作られるワインは辛口から甘口、極甘口まで様々だが、作り手の技量が試される品種。出来の良いものはフォアグラや青カビチーズとの相性が良い。
- ピノ・グリージョ:ピノ・グリとして様々な地域で栽培されているが、イタリアで栽培されると爽やかで口当たりの良い酸味と独特のかすかなほろ苦さをもつ特徴的なワインになる。果皮がやや灰色がかっているのが特徴で、ハンガリーでは貴腐ワインのトカイに用いられる。辛口はカルパッチョなどイタリアの前菜と相性抜群。

とりあえず主要な品種の紹介をしたけれど、ワイン用ぶどうの品種は世界で800種類以上といわれるほど多いの。好みのものから香りと味わいの特徴を覚えていくといいわ。
気軽に楽しむペアリングの幅
「赤=肉、白=魚」の固定観念に囚われず、多様な組み合わせを楽しみましょう。
- ピノ・ノワール × サーモン寿司
- ソーヴィニヨン・ブラン × シーザーサラダ
- リースリング × タイカレー
- メルロー × 照り焼きチキン
- シラー × 韓国プルコギ
- ゲヴュルツトラミネール × 中華点心
料理とワインを通じて新しい発見を楽しむのが中級者の醍醐味です。

とにかくいろいろ試してみることだよ!ワインはあくまで嗜好品だから、誰とも共有できないペアリングがあっても良いんだ。
中級者おすすめワイン12選
「知識をつけたら、実際に試してみたい!」という方向けに、おすすめの実力派ワインをピックアップしました。
赤ワイン
- モンテプルチアーノ・ダブルッツォ テヌータ・ウリッセ
天然環境で育つモンテプルチアーノを使用。チェリーやブラックベリーの華やかなアロマに、しっかりとしたボディのバランスが秀逸です。ナスのラザニア、ラムのグリルなどと。
- ブルゴーニュ・ピノノワール ドメーヌ・マニュエル・オリヴィエ
DRCの熟成コンサル出身のオリヴィエ氏が造る珠玉のピノ・ノワール。ラズベリーやスミレの香りが華やか。軽快な果実味と適度なコクが魅力です。鴨のロースト、マッシュルームのリゾットなど繊細な料理に。
- ピノ・ノワール オリバー・ゼター(ドイツ)
果実味豊かで酸味も美しく、軽やかな飲み口。チェリーやスミレのアロマが印象的な一本です。豚肉料理やソーセージ、軽めのグリル料理と相性◎。
- コート・デュ・ローヌ・ルージュ ドメーヌ・ド・クリスティア(グルナッシュ100%)
ブラックベリー、カシス、ハーブの香りと肉感的なボリュームが魅力の一本 。バランスが良く、飲みやすい。セラーに入れておけば熟成も可能です。グリル肉、スパイシーな煮込み料理と合わせて。
- ネロ・オロ ワイン・ピープル
イタリア・シチリア発、「ネロ・ダヴォラ」100%でアパッシメント製法(陰干しブドウ)による濃密かつ滑らかな赤ワイン。ドライチェリーやプルーン、バイオレット、甘草、シダー、バニラの香りが広がり、ボリューム感と質感のバランスが非常に高く、重厚な肉料理にぴったり。
- モーロ ヴェンドラーメ
ヴェネツィア共和国最後の総督家が受け継いだ土地で造られる、レフォスコとメルローによるアパッシメント赤ワイン。アマレナチェリーや野イチゴ、リコリスの甘苦い香りとしっかりした酸味のハーモニーが特徴で、濃密ながらも重すぎない深みを持つ一本。
白ワイン
- ラピス・ルナ・シャルドネ
カリフォルニア・メンドシーノ産。華やかな果実味とトースト感のある樽香、バニラやバターのような余韻が魅力のリッチなシャルドネです。中級者が味の構造を楽しむ入門に最適。
- リースリング レオン・マンバック
自然派アルザスの逸品。シトラスや白い花の芳香、ミネラル感と辛口の爽快感が口いっぱいに広がります。テロワールの表現力を知る優れた一本。
- マリア・ド・カサル・ヴィーニョ・ヴェルデ
みずみずしく爽やかなポルトガルの微発泡白。柑橘や緑のアロマ、フレッシュな酸味が特長で、焼き魚やシーフードと相性抜群。気軽な食事に◎。
- エステート・ソーヴィニョン・ブラン ミスティ・コーヴ
ニュージーランドの爽快ソーヴィニョン・ブラン。ハーバルな香りにパッションフルーツのインパクト、長い余韻が楽しめます。天ぷらとのペアリングも新鮮。
- マルタ・シベリーナ セレクシオン・ルセンド
スペイン産クリオマセレーションによる白ワイン。グレープフルーツやカルダモンなどハーブ香が華やかで、魚料理に合う洗練された味わい。
- カサ・デル・セロ・レゼルヴァ シャルドネ
チリ・セントラルヴァレーの定番辛口シャルドネ。洋梨や金木犀の香り、クリーミーな果実味とフレッシュな酸味のバランスが魅力で、シーフードやキノコのクリーム料理に好相性。
まとめ
中級者になるための鍵は、ぶどう品種と産地に基づいて味をイメージし、実際に試すこと。さらに理解が深まれば、飲む楽しみが圧倒的に増します。
今回紹介した銘柄はどれも個性が光るものばかり。ぜひ気になる一本から試して、自分好みの味わいを見つけてみてくださいね。
次回予告
第2回:「人気ぶどう品種と味わいの特徴|好みの一本を見つけよう」
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