有名な「5大シャトー」の産地であり、世界中のワイン好きから憧れの存在として愛される「ボルドーワイン」。
「ワインの女王」と呼ばれ高級ワインの代名詞として知られる一方で、実は日常的に楽しめるリーズナブルな銘柄も多く存在しています。
しかし「ボルドーは難しそう」「格付けや産地が複雑でよくわからない」という声をよく耳にします。
このシリーズでは、そんなボルドーワインを 5回にわけて徹底解説。
第1回となる今回は、「ボルドーワインの基礎知識」をテーマに、歴史・気候・ブドウ品種・スタイルといった全体像を整理していきましょう。

このシリーズでは産地別に細かく紹介していくよ!
少しずつ一緒に勉強していこうね。

ここからはこのシャムねこが詳しく解説していくぞ!
ボルドーが特別視される理由
ボルドーはフランス南西部、大西洋に面した港町を中心に広がる世界最大級のワイン産地です。
この地域のワインが特別視される理由は、大きく3つあります。
- 歴史的背景
ボルドーは中世からワイン貿易で栄えてきました。特にイギリスとの交易により「クラレット」と呼ばれる赤ワインがヨーロッパ各国で人気となり、世界的なブランド力を確立しました。 - 恵まれた自然環境
ガロンヌ川、ドルドーニュ川、ジロンド河口といった大きな水系があり、川沿いに肥沃な土壌が広がります。さらに大西洋の海洋性気候がブドウ栽培に適しており、毎年安定した収穫が可能です。 - ワイン文化の中心地
多くの高級シャトー(ワイナリー)が集まり、格付け制度や醸造技術の革新が生まれた地域でもあります。今日の「高級ワイン」の概念は、ボルドーが築いたと言っても過言ではありません。

フランスのワインの歴史の中でもとても重要な役割を果たしたんだね!

ちなみに「クラレット」は「澄んだ、明るい」という意味を持つ英語だぞ。昔のワインは今みたいな濃厚なものじゃなかったから、どちらかというとロゼワインみたいな色合いをしていたんだ。
左岸と右岸 ― 地域の違いが味わいを決める
ボルドーのワインを理解する上で重要なのが「左岸」と「右岸」という考え方です。
これは、ジロンド河口とガロンヌ川・ドルドーニュ川によって産地が分かれることを指します。
- 左岸(メドック、グラーヴなど)
砂利質の土壌が多く、水はけが良いため カベルネ・ソーヴィニヨン がよく育ちます。
その結果、骨格のしっかりした力強い赤ワインが中心。長期熟成に向くものが多く、格付けシャトーも集中しています。 - 右岸(サン・テミリオン、ポムロールなど)
粘土や石灰質土壌が多く、 メルロー が主役。
左岸に比べて柔らかく丸みのある味わいで、若いうちから楽しめるワインが多いのが特徴です。
この「左岸=力強さ」「右岸=なめらかさ」という対比を押さえるだけでも、ワイン選びがぐっと楽になります。

格付けワインの解説のときにまた詳しく説明するけど、ボルドーの5大シャトーのほとんどが左岸のメドック地区から生まれているぞ!
だからボルドーワイン=カベルネ・ソーヴィニヨンみたいなイメージがあるけど、ワインの生産量や作付け面積ではメルローのほうが圧倒的に多いんだ。
ボルドーを代表するブドウ品種
ボルドーといえば「ブレンドワイン」が基本。複数の品種を組み合わせることで、バランスと複雑さを生み出します。
赤ワイン用品種
- カベルネ・ソーヴィニヨン
タンニンが強く、長期熟成型。左岸の主役。 - メルロー
ふくよかで果実味豊か。右岸の中心品種。 - カベルネ・フラン
華やかな香りと酸味を加える脇役だが、サン・テミリオンでは主役になることも。 - プティ・ヴェルド
熟すのが遅いが、タンニンが豊富で色と香りをサポートする役割を果たすことが多い。 - マルベック
豊かなタンニンと酸味、スパイシーな香りでワインに深みをもたせることができる。

ボルドーで使用して良い赤ワイン用ぶどうはこの5種類だけだぞ!
白ワイン用品種
- ソーヴィニヨン・ブラン
柑橘やハーブの香りが爽やか。辛口白の主力。 - セミヨン
厚みと熟成力を与える。甘口ワイン「ソーテルヌ」の主役。 - ミュスカデル
アロマティックな香りでブレンドを補完。
ボルドーの赤ワインは「カベルネとメルローのバランス」、白ワインは「ソーヴィニヨンとセミヨンの比率」で味わいが決まると言って良いでしょう。

白ワイン用ぶどうではこの3種類のみ使用が許可されているぞ。
ボルドーワインのスタイル
ボルドーでは赤が全体の約85%を占めますが、実は多様なスタイルがあります。
- 赤ワイン
力強い左岸と、まろやかな右岸。それぞれに個性があり、熟成による変化も魅力。 - 白ワイン
ソーヴィニヨン主体の辛口白は、すっきり爽やか。シーフード料理との相性抜群です。 - 甘口ワイン
ソーテルヌやバルサックなど、貴腐菌の作用で生まれる濃厚な甘口。デザートやブルーチーズと好相性。 - ロゼワイン
軽快でフルーティー。近年はカジュアルに楽しめるロゼが人気上昇中。 - スパークリングワイン
クレマン・ド・ボルドーはシャンパーニュ製法で造られる本格派スパークリング。手頃な価格で高品質。

ボルドーのソーテルヌは、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイと並んで世界三大貴腐ワインと称される一級品だぞ。
ボルドーワインを楽しむ第一歩
ボルドーは奥深く、一見とっつきにくい印象がありますが、まずは「自分の好みを知ること」から始めましょう。
- 力強い味が好き → 左岸のカベルネ主体
- 柔らかい味が好き → 右岸のメルロー主体
- 爽やかな白が好き → ソーヴィニヨン・ブラン主体の辛口白
- 甘いワインに興味 → ソーテルヌの貴腐ワイン
このように、好みとスタイルを結びつけることで、ボルドーの複雑さが一気に整理されます。

ボルドーの一級シャトーはとても手が出ないけど、セカンドワインやサードワインなら手が届くよ!
同じではないけれど、そのシャトーの雰囲気を感じることはできるよ。

セカンドワインやサードワインというのは、同じシャトーの2番手、3番手のワインということだぞ!
決してお手頃ではないけれど、買える範囲のものも見つかるぞ!
まとめ
今回は「ボルドーワインの基礎知識」として、産地の特徴・左岸と右岸の違い・主要品種・スタイルを解説しました。
ボルドーは「歴史」「自然環境」「多様性」がそろった特別なワイン産地であり、その奥深さが世界中の人を惹きつけています。
次回は「ボルドー地方の産地とアペラシオン」をテーマに、メドック、サン・テミリオン、ポムロール、ソーテルヌといった代表的な地域の特徴を詳しく掘り下げていきますよ。
ぜひ一緒に、ボルドーの世界を旅するように楽しんでいきましょう。
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