前回は「ボルドーワインの基礎知識」として、ブドウ品種や左岸・右岸の違いを紹介しました。
今回はもう一歩踏み込み、「ボルドーの産地とアペラシオン(AOC)」をテーマに解説します。
ボルドーワインを理解するうえで避けて通れないのが「どの地域で造られたか」という点です。
同じボルドーでも、地域によって味わいやスタイルが大きく変わります。
この記事では、地図を思い浮かべながら主要エリアを整理していきましょう。

ボルドーワイン講座も第2回目!今回は主要な産地とアペラシオンを学んでいくよ!
そもそも「アペラシオン(AOC)」とは?
まず押さえておきたいのが「AOC(Appellation d’Origine Contrôlée)」という制度です。
これはフランス独自の「原産地呼称制度」で、簡単に言えば 「この土地で、この品種を、この方法で造られたワインだけが名乗れる名称」 です。
例を挙げると、ボルドーの「サン・テミリオンAOC」では、認められた畑・品種・醸造規則を守らない限り「サン・テミリオン」と名乗ることはできません。
つまりAOC表示は「品質の保証」であり、その土地の個性を知る目印でもあります。
ボルドー全体には60を超えるAOCが存在しますが、今回は主要エリアに絞って紹介します。

ちなみにこのAOCは、EU全体ではAOP(Appellation d’Origine Protégée)というぞ!
AOCの基準自体がAOPが定める一定の条件を満たしていることで、現在も変わらずAOCの表記が使用できるんだ。
左岸の代表産地
メドック(Médoc)
ジロンド河口の左岸に広がる細長い産地。砂利質の土壌がカベルネ・ソーヴィニヨンに適しており、力強く長期熟成向きの赤ワインを生み出します。
さらにメドックは細かく区分されており、特に有名なのが以下の「4つの村」です。
- サン・テステフ(Saint-Estèphe)
力強く堅牢なワインが特徴。熟成に時間がかかるが、長命なワインを生み出します。 - ポイヤック(Pauillac)
格付け1級の「シャトー・ラフィット・ロスチャイルド」「シャトー・ラトゥール」「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」を擁する銘醸地。力強さと気品を兼ね備えたワイン。 - サン・ジュリアン(Saint-Julien)
バランスの取れた安定感あるワイン。格付けシャトーが集中し、ハズレが少ない産地。 - マルゴー(Margaux)
華やかで繊細なスタイル。女性的なワインと表現されることもあります。1級の「シャトー・マルゴー」が象徴。
このほか「オー・メドック」「リストラック」「ムーリ」などもメドックに含まれます。

砂利質の土地は水はけが良いぞ。村は北から順に紹介しているからそのまま覚えてね!
5大シャトーのうち4つが存在する素晴らしい銘醸地だぞ!
グラーヴ(Graves)
ボルドー市の南に広がる地域。砂利混じりの土壌(Graves=砂利)が名前の由来です。
赤・白ともに優れたワインを生み出し、特に辛口白の評価が高いのが特徴です。
この中で特に重要なのが 「ペサック・レオニャン(Pessac-Léognan)」。
赤・白ともに格付けワインを持ち、名門「シャトー・オー・ブリオン」が所在します。
ソーテルヌ(Sauternes)
甘口ワインの聖地。セミヨン主体で造られ、貴腐菌によって濃厚で複雑な甘口が生まれます。
黄金色の液体は「液体の宝石」とも称され、世界三大貴腐ワインの代表格です。
特に「シャトー・ディケム」は伝説的存在として知られています。
右岸の代表産地
サン・テミリオン(Saint-Émilion)
中世の街並みが世界遺産に登録されている銘醸地。
粘土質や石灰質の土壌が多く、 メルロー主体の柔らかくエレガントな赤ワイン が中心です。
特徴的なのは、独自の格付け制度を持ち、約10年ごとに見直される点。
これにより、常に実力主義でシャトーの評価が更新されます。
ポムロール(Pomerol)
ボルドーの中では比較的新しい産地で、面積は小さいながら世界的に有名。
こちらもメルロー主体ですが、より濃厚でなめらかなスタイル。
伝説的な「シャトー・ペトリュス」を擁し、世界中のワイン愛好家から熱い注目を集めています。

ボルドーワインは名称が「シャトー〇〇」というものがほとんどだぞ。
これはフランス語で城という意味を持つ言葉で、ボルドー地方で自社畑を所有、ぶどう栽培をはじめ醸造から瓶詰めまでを全て行っている生産を刺しているんだ!
そのほかの重要エリア
- アントル・ドゥ・メール(Entre-Deux-Mers)
「2つの川の間」という意味。辛口白ワインの産地として有名で、ソーヴィニヨン・ブラン主体の爽やかなスタイルが中心。 - カディヤック、ルピアック、サント・クロワ・デュ・モン
ソーテルヌと並ぶ甘口ワインの産地。より手頃な価格で楽しめます。 - ボルドー地方全域(クレマン・ド・ボルドー)
ボルドーの地域全体で作られるスパークリングワインのAOC。シャンパーニュ方式で造られる本格派ながら、リーズナブルで人気です。

詳しくは別の機会に解説するけど、シャンパーニュ方式というのは主に瓶内二次発酵を指しているぞ。
瓶詰めしてから二次発酵させることで泡のキメが細かくなって、舌触りが良くなったり、味わいに複雑味や芳醇さが出たりするんだぞ!
地域と味わいを結びつけるコツ
ボルドーの複雑さに圧倒されそうになったら、次のようにシンプルに整理すると理解しやすくなります。
- 左岸(メドック、グラーヴ) → カベルネ主体、力強く長熟型
- 右岸(サン・テミリオン、ポムロール) → メルロー主体、まろやかで親しみやすい
- 甘口ワイン → ソーテルヌやその周辺
- 白ワイン → アントル・ドゥ・メール、グラーヴ
この基本さえ押さえておけば、ワインショップやレストランで迷わず選べるようになりますよ。

地区と一緒にヴィンテージもチェックしておこうね!若いボルドーは数年寝かせたほうが美味しく飲めるものも多いからね、、、

そうだぞ!それに長期熟成型のワインは年数の経過とともに値段が上がっていく傾向にあるんだ。
早めに買って寝かせておくもの、美味しいワインをコスパ良く楽しむコツなんだぞ!
まとめ
今回は「ボルドー地方の産地とアペラシオン」をテーマに、主要な地域の特徴を解説しました。
- メドックやグラーヴなど左岸はカベルネ主体の力強いワイン
- サン・テミリオンやポムロールなど右岸はメルロー主体のやわらかなワイン
- ソーテルヌは世界最高峰の甘口ワインを生む特別な産地
ボルドーの魅力は、まさに「地域ごとの多様性」にあります。
次回は、いよいよ「格付け制度」にフォーカスします。
1855年メドック格付けをはじめ、サン・テミリオンやグラーヴの格付けの違い、そして「格付けは本当に品質の証なのか?」を徹底解説していきます。

久しぶりの登場、しろねこよ。私はうんちくは語らないけど、美味しいワインは大好きなの。
格付けワインは本当に美味しいのかどうか、解説が楽しみだわ。
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