ラベル・格付け・産地を学んで、あなたにぴったりの1本を選ぶために
はじめに
数回にわたってお届けしてきた「ボルドーワイン解説シリーズ」も、いよいよ最終回となりました。
これまでの記事では、
- 第1回:ボルドーワインの基礎知識(地域・ブドウ品種・赤白の特徴)
- 第2回:ラベルの読み方(AOC、シャトー名、ヴィンテージ表記)
- 第3回:格付け制度の仕組み(メドック・グラーヴ・サンテミリオン・ソーテルヌ)
を順番に解説してきました。
今回はまとめとして、学んだ知識をどう活かしてボルドーワインを選び、楽しむかをお伝えします。

「難しそう」と感じがちなボルドーワインが、少しでも身近に感じてもらえたら嬉しいな!
1. ラベルを理解すれば、ボルドーはもっと面白い
ボルドーワインは「情報量が多すぎる」とよく言われます。しかし、ラベルの要点はシンプルです。
- シャトー名(生産者) – 例:「Château Margaux」
- 産地(アペラシオン) – 例:「Margaux」「Saint-Émilion Grand Cru」
- ヴィンテージ(収穫年) – 例:「2018」
- 格付け表示 – 例:「Grand Cru Classé en 1855」
これらを読めるようになると、「どの土地の、どんな格付けのワインなのか」が瞬時にわかります。単なる「名前の響き」ではなく、その背後にある歴史や品質の意味を理解できるようになるのです。

ラベルがとっつきにくいのは外国語だからだと思うんだ。見慣れてくると普通になるから、最初は大変だけど頑張ろうね!
2. 格付けは“地図”であって“絶対の序列”ではない
第3回で解説したように、ボルドーには複数の格付け制度があります。
- メドック(1855年)
- ソーテルヌ&バルサック(1855年)
- グラーヴ(1959年)
- サンテミリオン(10年ごと更新)
格付けは確かに目安になりますが、「1級だから必ず好み」「格付け外だから価値が低い」とは限りません。現代では、格付けに含まれていない生産者が実力で評価を高めるケースも多くあります。
👉 ワインを選ぶときは、
- 格付けは“安心材料”
- 自分の味覚に合うかは“実際に飲んでみること”
を大切にするとよいでしょう。

誰でも好きなように楽しめるのがワインの良いところ。
固苦しいことが苦手ならラベルで選んで飲んでみて、気に入ったかどうかを記録しておくだけでも良いのよ!
でも、そのワインができた背景や作り手の思い、シャトーの風景を知っているとより面白くなるの。
3. 産地ごとの個性を知ると選びやすい
ボルドーの広大な産地は、大きく「左岸」と「右岸」に分かれます。
- 左岸(メドック、グラーヴ)
→ カベルネ・ソーヴィニヨン主体、力強く長期熟成型。
例:ポイヤックのラフィット、マルゴーの優美なスタイル - 右岸(サンテミリオン、ポムロール)
→ メルロ主体、まろやかで親しみやすい。
例:サンテミリオンのパヴィ、ポムロールのペトリュス - ソーテルヌ&バルサック
→ セミヨン主体の甘口白。熟成で蜂蜜やアプリコットの香りに。
このように地図と結びつけて覚えると、飲む前から味わいの想像がしやすくなります。

何本か飲み比べるうち、自分は左岸が好みなのか、右岸が好みなのかも自然と感じられるようになるよ!
4. 初心者におすすめの選び方
「いきなり五大シャトーは敷居が高い…」という方に、入門向けの選び方を紹介します。
- 格付け第2級〜第5級:名門の味わいを比較的手ごろに楽しめる。
- クリュ・ブルジョワ:メドックの優良ワイン。価格も控えめで外れが少ない。
- サンテミリオンのグラン・クリュ:華やかで飲みやすく、家庭料理にも合わせやすい。
- セカンドワイン:有名シャトーが造る「弟分」。品質は高く、価格は1/3〜1/5。
👉 例:
- シャトー・ポタンサック(メドック)
- レ・フォール・ド・ラトゥール(ラトゥールのセカンド)
- シャトー・ラ・ドミニク(サンテミリオン)
5. 自分の「ボルドー地図」を育てよう
ワインの面白さは「飲んだ経験が積み重なる」ことにあります。ボルドーの場合、次のような工夫をすると理解が早まります。
- 同じ年の左岸と右岸を飲み比べて違いを知る
- 格付けの1級とセカンドワインを比較する
- 熟成ワインと若いヴィンテージを飲み比べて「時間の魔法」を体感する
メモや写真を残しておくと、あなただけの「ボルドーワインノート」ができます。
まとめ
ボルドーワインは「格付け」「産地」「ラベル表記」という3つの柱で理解が深まります。
ただし、それらはあくまで道しるべ。最後に大切なのは「自分が美味しいと感じるかどうか」です。
このシリーズを通じて、難解に思われがちなボルドーが、少しでも親しみやすく感じられるようになれば幸いです。次にボトルを手に取るとき、ぜひラベルをじっくり眺め、その背景にある歴史や土地に思いを馳せてみてください。
ボルドーの世界は奥深く、そして終わりがありません。あなた自身のペースで「マイ・ボルドー」を見つける旅を楽しんでください。
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