フランスワインの代名詞といえば「ボルドー」と「ブルゴーニュ」。
その中でもブルゴーニュは、世界中のワイン愛好家が憧れる特別な存在です。繊細でエレガントな味わいに加え、地域や畑ごとに異なる個性があるため、「一度ハマると抜け出せない」と言われるほど。
ただし、ブルゴーニュは複雑な地域でもあります。ラベルに村や畑の名前が細かく記載され、生産者も無数に存在するため、初心者にはとっつきにくい印象を与えることも少なくありません。
この記事では、シリーズ第1回として ブルゴーニュワインの基本 をわかりやすく整理します。歴史、特徴、ボルドーとの違いを押さえて、次回以降の学びにスムーズにつなげましょう。

ワインの王と言われるブルゴーニュワイン。難しいイメージがあるけれど、まずはざっと全体像を掴んでいこうね!
ブルゴーニュとはどんなワイン?
地理的な位置
ブルゴーニュ地方はフランスの中央東寄りにあり、首都パリから南東へおよそ300kmの場所に広がります。南北に細長いエリアで、全長は約230km。大きく分けると北のシャブリから南のボジョレーまで、複数の産地が連なっています。

毎年耳にするボジョレー・ヌーヴォーもブルゴーニュのワインなんだぞ!「ボジョレーの新酒」という意味で、11月の第3木曜日が解禁日なんだよ。
ボジョレーに使用されているガメイという品種が早のみワインの醸造に適しているからボジョレー・ヌーヴォーばかりクローズアップされがちなんだけど、実際のところ、新酒はボジョレーだけじゃなく各地で作られているよ。
気候と栽培環境
ブルゴーニュは大陸性気候に属し、冬は冷え込み、夏は暑く乾燥するのが特徴。ブドウにとっては厳しい環境ですが、そのおかげでワインには引き締まった酸や複雑な香りが生まれます。
品種のシンプルさ
ブルゴーニュ最大の特徴は「品種がシンプル」なこと。
- 赤ワインの主役:ピノ・ノワール
- 白ワインの主役:シャルドネ
世界中で栽培されるこの2品種の「最高峰の表現」がここにあります。生産量はフランス全体の数%と少なく、希少性もブルゴーニュの価値を押し上げています。
ボルドーとの大きな違い
フランスワインを語る上で必ず比較されるのが「ボルドー」。両者の違いを理解すると、ブルゴーニュの立ち位置がより鮮明になります。
- ブドウ品種の使い方
- ボルドー:複数品種をブレンド(例:カベルネ・ソーヴィニヨン+メルロ)
- ブルゴーニュ:基本的に単一品種で仕上げる
- 生産体制
- ボルドー:シャトー(大規模な生産者)が中心
- ブルゴーニュ:畑が細分化され、小さな農家やドメーヌが多数
- 味わいの傾向
- ボルドー:力強く重厚、熟成向き
- ブルゴーニュ:香り高く繊細、エレガント
つまり、ボルドーが「ブレンドの芸術」であるのに対し、ブルゴーニュは「土地そのものを映す鏡」と言えます。

フランス全土で見ても、ワインの生産量はボルドーのほうが圧倒的に多いんだぞ!
「希少価値」がブルゴーニュワインの価値に大きく影響しているんだ。車が買えちゃうあの「ロマネ・コンティ」だって、一年に5,000〜6,000本しか生産されていないよ。
歴史に育まれたワイン文化
修道士たちの功績
中世、ブルゴーニュのブドウ畑を発展させたのは修道士たちでした。特にクリュニー派とシトー派は土地を細かく観察し、区画ごとに味の違いを記録。これが現在の「クリマ(畑の区画概念)」の原点となります。

他にも修道士たちは、畑の中で特に出来の良いぶどうが育つ区画を見抜いて、「クロ」と呼ばれる特別な部分を区別していったんだぞ。
石垣や塀で囲まれていて、有名どころでは「クロ・ド・ウージョ」や「クロ・ド・タール」があるよ!
貴族の保護
14世紀にはブルゴーニュ公国が栄え、王侯貴族がワインを保護・奨励。ヨーロッパ中の宮廷でブルゴーニュワインが愛飲され、その名声は一気に広がりました。
現代へ
フランス革命後、土地は分割され多くの小農家の手に渡りました。このため、今でも「同じ畑から複数の生産者のワインが生まれる」というユニークな仕組みが残っています。

「フェルマージュ(賃借耕作)」や「メタやージュ(折半耕作)」と呼ばれる方法だぞ!ややこしくなるから、ここではそういうのがあるんだな、程度に思っておいてね。
ブルゴーニュが「特別」とされる理由
- きめ細かなテロワール
ほんの数十メートル違うだけで、ワインの個性が変わる土地。これほど多彩な表情を持つ産地は世界でも稀です。 - ピノ・ノワールとシャルドネの聖地
世界中で造られる品種ですが、本場ブルゴーニュの表現は別格。繊細な赤、奥行きある白は世界中の造り手が目標にしています。 - グラン・クリュの存在
ロマネ・コンティやモンラッシェなど、伝説的な特級畑が集中。価格は桁違いですが、ワインの頂点を象徴する存在です。

ブルゴーニュの中に、フランス全土のAOCの約4分の1が存在するんだぞ!その数なんと100!
それだけ細分化されているということだぞ!
初めてブルゴーニュに触れるなら
- ラベルの地名を手がかりに
村名や畑名が鍵。最初は「村名ワイン」から入ると理解しやすいです。 - 価格の手ごろな地域を試す
高級ワインばかりがブルゴーニュではありません。マコネ地区の白やコート・シャロネーズの赤は手に取りやすく、品質も安定しています。 - 飲み比べで違いを感じる
ボルドーと並べて飲めば、力強さと繊細さの対比が鮮やか。ワインの世界の奥深さを実感できます。
まとめ
ブルゴーニュワインは、
- 単一品種による純粋な味わい
- 区画ごとの個性を大切にする文化
- 修道士と貴族が築いた長い歴史
という特徴を持ち、「ワインの聖地」と呼ばれるにふさわしい存在です。
慣れるまで難しそうに思えても、親しみやすいワインはたくさんあります。まずは気軽に1本を試し、その奥に広がる世界へ踏み出してみてくださいね。
次回は、ブルゴーニュの個性を語る上で欠かせない「ブドウ品種編」。ピノ・ノワールとシャルドネがなぜ特別なのか、じっくり解説していきます。
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