ここまで、ボルドーワインの歴史や地域ごとの特徴、格付けの仕組み、ラベルの読み方を解説してきました。
知識を深めたあとは、いよいよ「実際にワインを選ぶ段階」です。
しかし、ボルドーには7,000以上のシャトーがあり、ラベルも複雑。
「どれを選んだらいいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、ワインショップやオンラインストアで役立つ 実践的な選び方のコツ をご紹介します。

ここまで学んだことを活かして、ボルドーワインを上手に選んでね!
自信を持つことが大切だよ!

最初は誰もがワイン初心者だったのよ。たくさん経験して飲んで学んで、少しずつワイン選びが上達していく過程も楽しむことが大事ね!
1. まずは「左岸」か「右岸」かを意識する
ボルドーワインを理解する最初の分かれ道は、やはり 左岸と右岸。
それぞれの味わいの傾向をざっくりと覚えておくと、自分好みを見つけやすくなります。
- 左岸(メドック、グラーヴなど)
主にカベルネ・ソーヴィニヨン主体。
しっかりした渋みと骨格があり、長期熟成に向く。
例:ポイヤック、マルゴー、サンジュリアン。 - 右岸(サンテミリオン、ポムロールなど)
メルロ主体で、柔らかくまろやかな口当たり。
果実味が前に出やすく、比較的若いうちから楽しめる。
例:サンテミリオン、ポムロール。

渋みや力強さを求めるなら左岸、やわらかさと親しみやすさを求めるなら右岸。これを基準にスタートすると迷いにくいんだぞ!
2. 格付けワインにこだわらなくてもいい
ボルドーといえば「格付けワイン(Grand Cru Classé)」が有名ですが、必ずしもそれに絞る必要はありません。
- 格付けシャトーは確かに高品質ですが、その分価格も高騰しがち。
- 一方で、格付けに入っていない優良シャトー(いわゆる「クリュ・ブルジョワ」や「プティ・シャトー」)の中にも、コストパフォーマンスの高いワインがたくさんあります。
たとえば、
- 2,000〜3,000円台 → オー・メドックの「クリュ・ブルジョワ」クラスが見つかる
- 3,000〜5,000円台 → サンテミリオンの「プティ・シャトー」も買える
- 5,000円以上 → ものによっては格付けシャトーのセカンドワインも見つかる
といった価格帯ごとの狙い目を知っておくと、選びやすくなります。
3. セカンドワインを狙う
ボルドーの楽しみ方のひとつが 「セカンドワイン」 です。
格付けシャトーのワインは高額ですが、そのセカンドラベルなら比較的手の届きやすい価格で楽しめます。
- 同じシャトーで造られたブドウやワインを使用
- 熟成ポテンシャルはやや控えめ
- 若いうちから飲みやすいスタイル
たとえば、
- シャトー・マルゴー → パヴィヨン・ルージュ
- シャトー・カントメルル → レ・アレ・ド・カントメルル
- シャトー・オー・ブリオン → ル・クラレンス・ド・オー・ブリオン
など、憧れのシャトーを身近に感じられる選択肢です。

ボルドーの主要な格付けシャトーをまとめておいたから、ここからチェックしてね→ボルドーワインの主要格付け一覧
4. ヴィンテージを確認する
同じシャトーでも、収穫年(ヴィンテージ)によって味わいは大きく変わります。
一般的に、ボルドーの近年の良年は以下の通りです。
- 1996, 2000, 2005, 2009, 2010, 2015, 2016, 2018, 2019, 2020
特に2009と2010は「黄金の二連星」とも言われ、左岸・右岸ともに高品質なワインが揃っています。
初心者はまず 2015以降の若いヴィンテージ を選ぶと、果実味が豊かで飲みやすい傾向があります。
5. ラベルのキーワードを押さえる
前回の記事でも紹介しましたが、ラベルにある以下の表記は要チェックです。
- Mis en Bouteille au Château:シャトー元詰め。品質管理が徹底されている。
- Cru Bourgeois(クリュ・ブルジョワ):格付け外でも優良と認定されたシャトー。
- Grand Cru Classé:格付けワイン。伝統と格式を示す。
- AOC表記(例:Haut-Médoc, Saint-Émilion, Pomerol):地域による味わいの特徴を把握できる。
6. シチュエーションで選ぶ
最後に、シーンごとにおすすめのスタイルを整理してみましょう。
- 日常の食卓に気軽に合わせたい
→ 2,000〜3,000円台のオー・メドックやボルドー・シュペリュール - ホームパーティーやちょっとしたおもてなしに
→ 3,000〜5,000円台のサンテミリオンやポムロールのプティ・シャトー - 特別な日の一本に
→ 格付けシャトーのセカンドワイン、または2009/2010年の良年ヴィンテージ - ワインラバー同士でじっくり楽しむ
→ 格付け1級〜3級のメドックワイン、10年以上熟成させた右岸の名門ワイン
まとめ
ボルドーワインを選ぶときのポイントは次の通りです。
- 左岸=力強い/右岸=やわらかい、を意識する
- 格付けにこだわらず、クリュ・ブルジョワやプティ・シャトーを狙う
- 憧れのシャトーはセカンドワインで試す
- ヴィンテージで品質や飲み頃を見極める
- ラベルのキーワードを押さえる
こうして整理すれば、数あるボルドーワインの中から「自分に合った一本」を見つけやすくなります。
次回はシリーズの最終回として、これまで学んだ内容を総復習しつつ、ボルドーワインをもっと楽しむためのまとめ記事をお届けします。
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