イタリアのワイン地図の中央に位置するのが「中部イタリア」。
その中心にあるのが、言わずと知れた トスカーナ州(Toscana) です。
ルネサンスの都フィレンツェを擁し、美しい丘陵地帯が広がるこの地域では、
古くから伝統を守りながらも、新しい挑戦を続けるワイン造りが行われています。
この記事では、トスカーナを軸に、中部イタリアの代表的な産地とその魅力を解説します。

次はトスカーナを含むイタリア中部地方を見ていこうね!
観光地としても人気のエリアではどんなワインが作られているのかな?
※本記事にはプロモーションが含まれています。
🌿 トスカーナ州 ― イタリアワインの象徴
オリーブ畑と糸杉が並ぶ丘、石造りの村、夕陽に染まるブドウ畑。
そんな絵画のような風景の中で生まれるトスカーナワインは、
まさに「イタリアの美」を体現しています。
この地の主役となるブドウは サンジョヴェーゼ(Sangiovese)。
果実味と酸味のバランスがよく、長期熟成にも耐える万能品種です。
サンジョヴェーゼから生まれる名ワインが、
世界中で愛される キャンティ(Chianti) です。
🍷 キャンティ ― トスカーナを代表する伝統の赤ワイン
「キャンティ」は、フィレンツェとシエナの間に広がる丘陵地帯の総称。
この地域で造られる赤ワインは、トスカーナの象徴的存在です。
● サンジョヴェーゼの魅力
キャンティの主役はサンジョヴェーゼ。
明るいルビー色に、チェリーやスミレの香り、
ほどよい酸味と柔らかなタンニンが特徴です。
若いうちはフレッシュで軽快。熟成させると深みとスパイス香が増し、
同じブドウでも時間とともに変化を楽しめるのが魅力です。
● キャンティ・クラシコとは?
キャンティにはいくつかのサブゾーンがありますが、
中でも最も伝統的で評価が高いのが キャンティ・クラシコ(Chianti Classico)。
ボトルに描かれた黒い雄鶏(ガッロ・ネーロ)がその目印です。
クラシコは厳しい生産基準を満たした高品質ワインで、
樽熟成を経て奥行きのある味わいに仕上がります。
🏰 モンタルチーノとモンテプルチャーノ ― 熟成の極みを味わう赤
トスカーナには、キャンティ以外にも世界的に評価の高い銘酒があります。
● ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino)
モンタルチーノ村で造られるブルネッロは、
トスカーナの中でも特に重厚で高貴な赤ワイン。
サンジョヴェーゼ・グロッソという亜種を使用し、
最低4年以上の熟成を経てリリースされます。
濃厚な果実味、スパイス、バルサミコ、タバコのような複雑な香りが重なり、
イタリア最高峰の赤と称される存在です。
● ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチャーノ(Vino Nobile di Montepulciano)
同じトスカーナ南部でも、少し異なる個性を持つのがこちら。
ブルネッロよりもやや軽やかで、上品な酸味と柔らかいタンニンが特徴です。
食事とともに楽しむなら、こちらのほうが親しみやすいと感じる方も多いでしょう。
🌊 スーパータスカン ― トスカーナが世界を驚かせた革新
1970年代、トスカーナの生産者たちは新たな挑戦を始めました。
それが スーパータスカン(Super Tuscan) の誕生です。
当時のイタリアでは、サンジョヴェーゼ主体でなければ
「DOC格付け」を名乗れないという厳格なルールがありました。
しかし一部の生産者は、品質向上のために
カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどの
国際品種をブレンドし始めたのです。
その結果、格付け上は「IGT(地理的表示付きワイン)」でありながら、
品質はDOCGを超えるような素晴らしいワインが誕生しました。
有名な銘柄には、サッシカイア(Sassicaia)、ティニャネロ(Tignanello)、
オルネッライア(Ornellaia) などがあり、
今では世界中の愛好家が追い求める存在となっています。
スーパータスカンは、
「格付けにとらわれない自由な発想」から生まれた象徴的なワイン。
まさに“革新のトスカーナ”を体現しているのです。
🍇 トスカーナ以外の中部ワインも要注目!
● ウンブリア州 ― 緑のハートが育む力強さ
トスカーナの隣に位置する ウンブリア州(Umbria) は、
内陸にある「イタリアの緑の心臓」と呼ばれる地域。
ここで有名なのが サグランティーノ・ディ・モンテファルコ(Sagrantino di Montefalco)。
タンニンが非常に力強く、長期熟成に向いたワインです。
一方で白の オルヴィエート(Orvieto) は軽やかで親しみやすく、
日常の食卓にもよく合います。
● マルケ州 ― アドリア海沿岸の個性派
アドリア海に面した マルケ州(Marche) は、
山と海の影響を受けた多彩なブドウが育ちます。
代表的な白ワインは ヴェルディッキオ(Verdicchio)。
爽やかな酸味とほのかな苦みが心地よく、魚介料理にぴったり。
赤ワインでは モンテプルチャーノ(Montepulciano) が有名で、
柔らかく飲みやすい味わいが人気です。
🧀 中部イタリアワインと料理のマリアージュ
中部の料理は、オリーブオイルやハーブを活かしたシンプルな味付けが特徴。
素材の旨味を引き立てるワインがよく合います。
- キャンティ × トマトベースのパスタやローストチキン
- ブルネッロ × 牛肉のグリルや熟成チーズ
- ヴェルディッキオ × 魚介のマリネやカルパッチョ
ワインと料理が互いを引き立てる関係性も、
中部イタリアの魅力のひとつです。
🌅 まとめ:伝統と革新が共存する中部イタリア
中部イタリアのワインは、
伝統を守りながらも挑戦を恐れない姿勢が特徴です。
トスカーナの古典派キャンティから、革新的なスーパータスカンまで。
一見対極にあるようでいて、どちらも
「より良いワインを造りたい」という情熱から生まれています。
この地域を知ることは、イタリアワインの“心”を知ること。
グラスを傾けるたびに、その奥深さに魅了されるはずです。

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